筆)おだみう
双子同然に育った幼なじみが数年ぶりに水俣へ帰って来たので、3日間、お休みをいただいた。
彼女とは誕生日が一ヶ月も違わない。
血こそ繋がらないが、同じ布おむつを共有し双子用のベビーカーに乗った仲である。
再会したその日、21歳の二人は、真っ先にゼンマイ採りをはじめた。
別に計画していたわけではない。
ただ、家を出てフラフラ散歩をしている最中、たまたま目の当たりにしたものが
ゼンマイであっただけだ。
フラフラする場所によっては、歌い始めたり踊り始めたりパフェを食べだしたりしたのかもしれないが、
山だからそんなものである。
かつて私以上に山娘であった彼女は、山の植物をよく知っている。
ゼンマイに雌雄があること、食べられるのはメスであることも初めて知った。
メスは見た目がチャーミングだけれどオスはあまり美しくない。見るからに不味そうである。
しかしながら、一本の醜いオスの周囲に可愛らしいメスが何本も取り囲んでいる。
一夫多妻制なのだろうか。
そんなことを好き勝手に話しながら、いつのまにか両手にいっぱいの山菜を抱えていた。
途中、ノビルも発見したのでこれも山ほど抜いた。ワラビは数本、多くはゼンマイだ。
家に帰ってからが一苦労。
お風呂のたき付けから木炭を集めて煮立て、ゼンマイを投下。鍋の中でワラビと木炭が踊り狂い、黒魔術料理のようである。
その後火をとめてもまだエグイので放っておいたら、冷めた頃にはゼンマイは半分に減っていた。余熱で上半身(渦巻き部分)が溶けてしまったらしい。
ノビルは薄皮一枚とって、茹でて、甘い酢みそを作って食べる。
灰汁抜きをしなくていいとは相当に楽な事だなと痛感。
調理中、ゼンマイの茎の断面には、クルリと渦巻があることも発見。切っても切っても渦巻き模様、まるでロールケーキなのだ。からだの芯までゼンマイ仕掛けとは、なんともイキなやつめ。
わざわざ仕事休んでそんなことしてなくても・・
否、休みでもとらない限りこんな面倒なことしないのである。
福岡から3時間半かけて水俣に来てすぐに、
こんな面倒に巻き込み、幼なじみは気の毒にも思える。
しかし、彼女は嫌な顔ひとつせず・・・
むしろイキイキと崖に登りブチブチとゼンマイを摘む姿を見ると、やはり、私の半身だなあと思う。
最近のコメント